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今や4Kや8Kといった高画質の映像は珍しいものではなくなり、テレビだけではなく、パソコンやスマートフォンでも、4Kや8Kの映像を見る機会が増えてきました。ファイル容量の大きさが問題となっていた高画質動画の圧縮形式も、HEVCという新しい動画圧縮規格の登場で解消されつつあります。今回は、HEVCの概要と、どのように使っていくのかを、ご紹介したいと思います。
HEVCとは、High Efficiency Video Codingの略で、主にビデオ・動画データを圧縮するために用いられるメディアフォーマットのことです。H.265(ISO/IEC 23008-2 HEVC)と表記されることもあり、すでに広く用いられているH.264(MPEG-4 AVC)の後継とされています。2013年1月25日に、国際電気通信連合電気通信標準化部門にて承認されました。
データを圧縮すると、画質や音声の劣化が問題となります。しかし、HEVCは劣化が少ない上、より高圧縮を実現しています。そのため、最新デバイスでは、保存方法をHEVC形式と従来のH.264(MPEG-4 AVC)を選択できるようになっている機種もあります。
HEVC video extentionとは、Microsoftが提供しているPC拡張パックの一つです。この機能は、プリインストールされている「映画&テレビ」アプリにて、HEVC圧縮されたデータを再生できるようにするものです。iPhone11、macOS High Sierra、Android5.0以降で、動画の保存形式がHEVC(H.265 MPEG)のデータは、パソコンへコピーしても、そのままでは閲覧することができません。
HEVC video extentionは、単価120円の有料の拡張機能ですが、Windows10以降にプリインストールされている映画&テレビアプリを使ってHEVC形式のデータを再生するには、必要な拡張機能となっています。無料のものも配布されていますが、システムの安定性やセキュリティなどに不安を感じる方は、Microsoftの拡張機能追加ページより購入されることをお勧めします。
現在、Windows10を使用していて、Windows Media Playerでどのようなフォーマットの動画を再生できるかどうかを調べる方法をご紹介します。Windows Media Playerを起動し、メニューより[ヘルプ(H)]>[バージョン情報(A)]をクリックします。メニューバーが非表示になっている場合は、ウインドウ内の再生ボタンなどが表示されている部分にカーソルを置いて、右クリックすると、メニューが表示されます。
バージョン情報ウインドウの下部に表示されている、[テクニカルサポート情報]をクリックします。ファイルを表示するアプリケーションを選択するウインドウが開く場合もありますが、ChromeやMicrosoft Edgeなどのブラウザを選択してください。画面をスクロールさせていくと、搭載されている「オーディオコーデック」や「ビデオコーデック」の一覧が掲載された箇所が出てきます。HEVCはビデオコーデックなので、該当欄に表示がなければ、新たにインストールする必要がありますが、残念ながらWindows Media Playerに手動でコーデックを追加する方法はないようです。コーデックの対応やソフトのバージョンアップは、Windowsの更新時において自動的にインストールされるものとなるので、気長に待つしかありません。
コーデックとは、動画ファイルの圧縮と復元を行うものです。ファイルの再生には、圧縮時に使用したコーデックと同様のコーデックを使う必要があります。
HEVCコーデックが必要となるのは、Windows10や11をお使いである場合のみです。Windows8以前をお使いの場合は、プリインストールされている再生ソフトが、そもそもHEVCコーデック非対応となっています。この場合は、HEVC再生ができるソフトそのものを新たにインストールするしかありません。
一方、Windows10や11では、購入時の設定では再生ができないものの、HEVC形式のファイルを再生するための拡張機能をインストールさえすれば、プリインストールされている再生ソフトをそのまま使うことができます。
よって、HEVCコーデックに必要なものとは、対応OSとコーデックの配布元ということになります。
Microsoft(https://www.microsoft.com/ja-jp/)にアクセスし、右上部にある検索アイコン(Microsoft.comを検索)をクリックします。検索ボックス内に、「HEVCビデオ拡張機能」と入力します。
表示されたアプリの右側にある、[購入]ボタンをクリックします。なお、無料配布されているアプリの場合は、[入手]と表示されます。
購入にあたって必要な手続きを終了すると、自動的に元の画面に戻ります。すると、アプリメニューの上部に[インストール]ボタンが表示されていますので、こちらをクリックしてインストールを行います。Microsoft Storeが開き、[ダウンロード]>[開く]となったら、インストール完了です。
拡張機能がインストールされている場合は、Microsoftサイトのアプリ項目の上部に「このアプリを所有しています」と表示されます。
あるいは、Microsoft Storeを開き、画面上部にある検索ボックスに「HEVCビデオ拡張機能」と入力します。表示された[購入]ボタンをクリックし、購入手続きを済ませたら、インストールを行います。
拡張機能なので、インストール後の[開く]ボタンをクリックしても、アプリケーションが立ち上がるなどのアクションはありません。よって、次の手順にて、インストール完了の確認を行います。
現在ご使用されているパソコンに、HEVCを再生するための拡張機能をインストールしましたら、「映画&テレビ」アプリにてファイルを再生してみましょう。なお、YouTubeやニコニコ動画などの動画共有サイトにて公開されているHEVC形式の4Kや8Kの動画を閲覧する際には、パソコンに拡張機能をインストールする必要はありません。
HEVCは、コーデック・フォーマット名であり、拡張子ではありません。よって、H.264(MPEG-4 AVC)とまったく同じ拡張子を使っています。スマートフォンの場合は、カメラの設定メニュー内にて、ビデオを保存する際の圧縮形式を選択できる機種があります。こうしたデータ以外のファイルで、HEVCが使われているかどうかを知るには、コーデックチェッカーと呼ばれるソフトにて解析を行います。
なお、コーデックの拡張機能は、使用するソフトごとにインストールする必要がありますので、ご注意ください。
HEVC形式のデータを閲覧する方法は、他にもあります。それは、H.265/HEVC形式のファイルを、H.264/MP4やMP3、WMVなどのファイル形式に変換して閲覧・再生する方法です。
変換を行うには、専用のコンバーターソフトをインストールする方法と、オンラインサービスを利用する方法とがあります。コンバーターソフトには、無料のものと有料のものとがあります。ソフトによって対応しているファイル形式が異なるためか、複数のソフトを併用しているユーザーが多いようです。
ソフトのインストールを行うほど、コンバーターを使用しないというのであれば、オンラインサービスを利用するのも良いでしょう。こちらも使い勝手の良さや、対応するファイル形式、サービス提供元の信頼度の高さなど、事前に調査するべき項目はいくつかありますが、パソコン本体のシステムに影響を与えないというメリットがあります。
基本的な操作方法は、おおよそ共通していますので、簡単に解説いたします。
まず、変換を行いたいデータファイルを用意します。オンラインサービスの場合は、変換を行いたいデータをGoogle DriveやDropboxに保存しておく必要があるものもあります。
次に、コンバート先のファイル形式を選択します。再生ソフトが対応しているファイル形式を選びます。なお、H.264/MP4やWMVは、2003年以降に発売されたパソコンにインストールできる再生ソフトに対応しています。
HEVCは、ISO(国際標準化機構)/IEC(国際電気標準会議)とITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)による、研究開発チームによって提案されました。2013年に承認されたものの、パソコンにプリインストールされているソフトのコーデック未対応や、ソフトの非搭載という問題が残されたままです。
高圧縮・低劣化のコーデックの普及は、ストレージの容量に関係するものでもあります。大容量の外付けHDD・SSDも販売されていますが、高額な商品でもあるため、気軽に利用できるとは言い切れません。
反面、気軽に動画撮影ができるスマートフォンの普及は、年々増加しています。現段階では、H.264とH.265の差について、気にすることなく設定される方もいることと思いますが、パソコンでデータのバックアップを行った際には、これらのコーデックの違いは決定的なものとなります。
HEVC・H.265の標準化については、配給側の課題となるかもしれませんが、ユーザーである私たちも、これらのコーデックの違いや搭載の背景について、知っておくことは大切なことだと思います。
2020年には、新たな圧縮形式となるH.266も開発されましたが、こちらの普及はまだ進んでいないようです。お使いの機器のファイル保存形式の詳細は、OSのバージョンアップ時や新機種の購入時に確認されることをお勧めします。
願わくば、HEVCの拡張機能が、追加購入ではなく、標準搭載されるようになり、プレイヤーによる再生時になって初めてエラーに気づくという事態がなくなるといいなと思います。
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