さまざまな画像や動画コンテンツが普及していく中で、自ら画像や動画を加工したり、加工されたコンテンツを保存して自分たちで利用するケースも増えているはずです。特に画像加工については、Photoshopを使って自分でやったり、もっと簡単なものになるとLINEの加工機能などで最低限のものは施す事が可能になります。
その中でも使う機会が多く、また保存したコンテンツにもよく用いられるのが、「モザイク加工」です。モザイク加工は、画像や動画コンテンツの中で特定のものや情報を隠したい時に用いられます。これは簡単に加工することができ、確実です。LINEの画像加工も、モザイクを簡単に付けられるものがあります。
しかし、こう考えたことはありませんか?何かしらの処理をして画像を加工したのなら、最新の技術を使えばモザイク処理された画像や動画などのコンテンツをもとに戻すこともできるのではないか?
実際のところはそう簡単ではありません。モザイクというのは、例えるならば上から黒塗りで潰したというよりも画像そのものを撹乱してグチャグチャにしたものだからです。なので、もとデータを持っていないとモザイク前の画像を手に入れるのは至難の技なのです。しかし、完全に不可能なわけではありません。特定のソフトを利用してモザイクをかけた場合などや、ディープラーニングなどの技術を利用すれば、モザイク前を復元する事が可能になる場合もあります。今回はその方法についてまとめていきます。
公式サイト:https://www.adobe.com/jp/products/photoshop.html
写真引用元:https://www.sierrarei.com/
Photoshopは、言わずと知れた画像加工・編集ソフトウェアです。
普通の仕事からイラストレーターの方まで多くの方が愛用しているソフトです。当然仕事で使うということは、隠したい情報や機密性の高い情報も含まれるということですから、モザイク機能も利用できるようになっています。でも、実はモザイクをかけるだけでなく、モザイクを除去することもできるかもしれないのです。一体どういうことでしょうか。
実は、Photoshopを使ってモザイクをかけたものに関してはモザイクを除去できる可能性があるということです。なぜそんな事ができるのかというと、そもそもモザイクの原理自体は画像そのものをぐちゃぐちゃにするものなのです。つまり上書きされるから読めないわけです。
しかし、上書きではなく上塗りの状態だとしたらどうでしょうか?Photoshopでモザイクをかけ、JPEGなどにされた場合、画像は戻せませんが、別のレイヤーに乗せたままのPSD形式である場合は、モザイクのフィルター機能を外すことによってモザイクを外す事が可能になるのです。
公式サイト:http://pulse.cs.duke.edu/
もちろんPhotoshopのような例もあるのですが、私たちがイメージするモザイク除去処理とはちょっと違う…と思われる方も多いかもしれません。もっと人工知能というか、データ復元のような高度な技術を使ってモザイクを直すことはできないだろうかと思う方。そんな方向けに取り上げるのが、このPULSEというツールです。
オープンソースで開発されたツールであり、無料で利用する事が可能です。AIを用いてモザイクを復元、というよりも、モザイクによって粗くなった画像を、本来の姿に近いような形でなるべく近づけるために画像を解析するのにAIを利用するというイメージです。
オープンソースのツールであり、Githubのレポジトリーから利用することが可能です。
PULSEは画像を貼り付けて解析するものですが、問題点も多くあります。それは、あくまで顔を復元するだけの用途にしか使えないということ。顔の写真はデータの蓄積がものすごく多いためAIを利用しやすいということなのです。また。復元されたデータも必ずしも正確性があるかというと疑問符が付くこともあります。用途は顔写真で、参考程度に留めておくのが良いでしょう。
公式サイト:https://www.deepmosaic.co.jp/
ただ、モザイク復元サービスを利用したい人の多くは、そんな目的じゃないと思うことでしょう。モザイクがかかった状態で頒布されている性器を含む映像などは、当然上記の方法では出来ません。そういう目的で利用したい人たちに提案したいのが、DeepMosaicというソフトウェアです。
これはフリーソフトであり、公式サイトから無料でダウンロードして利用できます。対応しているOSはWindows10に限られるのが難点ではありますが、非常に使いやすくなっています。これは元々男性器や女性器などを検出して自動でモザイクをかけ、人件費を削減することを目的としているのですが、モザイク除去ツールも提供しているのです。
本来そう言ったものを検出するためのソフトであるため、結果にはある程度信憑性があると言えそうです。そして画像だけでなく映像にも使えるのもポイントです。ただし、あくまでも原理はAIを用いてモザイクで粗くなった画像を補正するものだということは考慮してください。
公式サイト:https://www.gimp.org/
GIMPは、フリーで使える画像加工・編集ソフトです。もともとはスマートフォンで撮影した写真などでノイズが入っているものを、補正して綺麗にするために利用できるソフトです。無料でプロ級の処理ができることで有名なのですが、このソフトを利用することでモザイクを外す事ができるのでしょうか?
その原理としては、GIMPのノイズ除去フィルター機能が挙げられます。処理したい画像をアップロードして、Filters→EnhanceからNoise Redcutionでノイズを除去できます。この仕組みはあくまでも画像を補正するもので、モザイク処理とは違うものかもしれませんが、このようにして画像を直す方法もあるということで紹介しておきます。
公式サイト:https://theinpaint.com/
そうしたAI技術を利用するソフトで、ご紹介しておきたいのが、このInpaintです。Inpaintはオンラインで利用できるモザイク除去ソフトであり、ダウンロード・インストール不要で利用できるため、手間も時間もかからずに非常に便利です。
Webサービスでブラウザからアップロードしてできる上、利用は無料でできます。この点も高評価です。
原理としては、AIを利用してモザイクのかかっている部分を補完するというものです。モザイク以外にも透かしや劣化した画像の修正などもする事ができます。
Inpaintとウェブ検索して出てきたサイトから利用できます。基本的に原理は他のモザイク除去と変わらず、ディープラーニングを用いたものなので、完全とは言えませんが十分画像のモザイク処理を取るには役立つでしょう。
ダウンロード先:https://gmask.software.informer.com/
GMASKというサービスは、モザイク除去サービスではあるのですが、他とは少し違った内容になっています。フリーソフトであり、無料でダウンロードして使う事が可能です。GMASKと調べてフリーソフト紹介サイトからダウンロードしましょう。
ここで注意しなければいけないのは、GMASKはモザイクを消すものではなく、CPマスクという、モザイクをかける際に事後的にモザイクを外せるようなソフトがあり、その外す際にGMASKを利用するというものになっています。自分でモザイクをかけたけど後で外したい、という時にパスワードなどを事前に設定しておいて、それを持って復旧させる用途ですので、他から拾った画像のモザイクを取ることは不可能です。その点だけ注意しましょう。
ダウンロード先:https://github.com/thunil/TecoGAN
TecoGANは、AIの技術を利用して、ズームして粗くなった画像などを補正する際に使うことのできるプロジェクトです。これを利用するためにはGithubの簡単に利用できるプロジェクトが立ち上がっていますので、そこへアクセスします。
少々面倒ではありますが、Google Colabなどを利用してシステムを組み、画像をアップロードして補正することになります。
詳細のやり方は調べると出てきますが、動画もコマ送りにして画像にして補正できます。
ただ、この原理もあくまでAI技術を利用して補正するものです。しかも元は粗い画像を修正するものなので、上塗りするようなタイプでつけられたモザイクには効かないという点に注意してください。
公式サイト:https://bgremover.vanceai.com/ja/
BGremoverは、AIを使ってさまざまな画像加工技術を利用することのできるPC向けソフトウェアです。主な内容としては、AIを利用して背景透過をするなどが挙げられるのですが、AI写真復元という、劣化した古い画像を元のように綺麗に修復できるものや、AIノイズ除去という、ノイズが入って不鮮明になった画像を修復できるなどの機能があります。こうした機能を使うことで、画像にモザイクのようなものがかかって不鮮明になっているものを、AIによる補正で修正できるのです。
ただし、このサービスは有料であるため注意が必要です。価格は、標準プランで月々1080円となっています。
公式サイト:https://www.javplayerfree.com/jp/
JavPlayerもまた、AI技術によってモザイクを補正することのできるソフトです。実はこのソフトはTecoGANの技術を利用したものです。
一般の人によって開発されたもので、有料なのですが体験版が存在します。開発者のツイッターから公式サイトに飛ぶと、詳細を見ることができます。AIの技術を用いてモザイクを目立たなくすること、が目的であり、モザイクを除去できる訳ではないというふうに公式からも説明されています。ただし2021年現在製品販売ページに入れない状態となっており、開発者のTwitterも更新されておらず、新規に利用・購入する事ができるかは不明です。
公式サイト:https://www.jihosoft.com/photo/photo-eraser.html
Jihosoft Photo Eraserもまた、AIを利用してモザイク部分の画像を補正できるソフトウェアです。お試し版はあるものの、こちらも有料のソフトとなっており、現在39ドルで売られています。
少々値が張るものですし、このソフトはどちらかというと人などではなく風景の画像の不鮮明さを補正できるものになっています。
さて、ここまでモザイク処理された画像や動画を、どのようにしてモザイクを外すのか。関連したソフトやサービスを見てきました。基本的に、モザイク処理というのは元のデータを壊して見えなくするものなので、外すことはできません。しかし、それを直す方法があるとすれば、もともとモザイクを外すのを可能な形にしてかけたケースと、AIの技術を利用してモザイクがかかった部分を補正できるようにしたものとが挙げられます。それぞれ使うソフトやサービスは異なるので、目的に合わせて利用していきましょう。
「其れこそ私が欲しいソフトだ」と思わせるようなソフトをお勧めします。目指せ、あらゆるジャンルの素晴らしいソフトを発掘することを。「其れこそ私が欲しいソフトだ」と思わせるようなソフトのレビューを更新し続けています。