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iOS11以降、iPhone7以降、iPad第6世代以降、iPad Air第3世代以降、iPad mini第5世代などのApple製品を使用して撮影された写真ファイルは、HEIFと呼ばれる圧縮方式にて保存され、「.heic」という拡張子がつけられます。高圧縮で低劣化のファイル形式ですが、互換性が低いため、ファイル変換が必要な状況が多々あります。今回は、圧縮データの品質を低下させずにファイル変換を行う方法について、ご紹介します。
HEIC(.heicと表記される)とは、HEIF(High Efficiency Image File Formatの略)というファイル圧縮形式により保存された、画像ファイルにつけられる拡張子のことです。2017年9月以降に発売されたiPhone端末やiOSでは、HEIFによる圧縮が標準となっています。Appleが独自に採用したとされているHEIF形式ですが、最近ではAndroidの動画ファイルの保存形式としても採用されるようになってきています。
しかし、一部のWindowsやAndroidでは、未だに「.heic」ファイルを閲覧することができません。「.heic」ファイルを閲覧可能にするためには、閲覧先のOSに、HEIFコンバーターや拡張機能をインストールする必要があります。この手間をなくすために必要となるのが、汎用性の高い「.jpg」へのファイル変換なのです。
「.heic」を「.jpg」に変換する方法は、3つあります。
1.オンラインのファイルコンバーターを利用する
2.パソコンもしくはスマートフォンに、コンバートソフトをインストールして、ファイル変換を行う
3.オンラインストレージを利用して、ファイル変換を行う
これらの方法の詳細に関しては、後のトピックスで詳しく解説していきます。
Windowsで、HEICファイルをJPGファイルへ変換するには、オンラインコンバーターやコンバーターソフトを利用するしか方法はありません。ただし、Windows10や11を使用されている場合は、拡張機能をインストールすることで、オリジナルデータの変換を行わずにファイルの閲覧や編集を行うことができるようになります。
ここでは、拡張機能をインストールして、HEICからJPGへ変換する方法をご紹介します。
1. Microsoft(https://www.microsoft.com/ja-jp/)へアクセスし、右上部にある検索アイコン(Microsoft.comを検索)をクリックし、「HEIF画像拡張機能」(無料)と入力します。
2. ブラウザに表示された拡張機能項目内にある、[入手]ボタンをクリックします。
Microsoft Storeが起動して、「HEIF画像拡張機能」が表示されます。中央にある[入手]ボタンをクリックして、インストールを行います。
ただし、この拡張機能をインストールするだけでは、画像ファイルを閲覧することはできません。同時に「HEVCビデオ拡張機能」(有料・120円)をインストールする必要があります。
これらの拡張機能がインストールされましたら、写真を開き、右上部に表示されている[…]>[名前を付けて保存]>[.jpg(*.jpg)]を選択することで、ファイルフォーマットを変換することができます。
iOS11もしくは、macOS High Sierra以降であれば、変換を行わずにファイルの閲覧や編集を行うことは可能ですが、より汎用性の高いJPGに変換したほうがよい場合もあるかと思います。ここでは、プリインストールアプリを使用して、ファイル変換を行う方法をご紹介します。
写真AppやプレビューAppにて、該当ファイルを開き、[ファイル]>[書き出す]を選択します。ポップアップウインドウが表示されますので、[写真の種類]より[JPG/JPEG]を選択します。書き出し先となる場所を指定したら、[書き出す]ボタンをクリックします。以上の手順にて、HEICファイルをJPGへ変換することができます。
無料で、HEICファイルをJPGへ変換できる、オンラインサービスサイトを紹介します。それぞれ特徴がありますので、組み合わせて使用されると良いと思います。
https://www.apowersoft.jp/heic-to-jpg
特徴:JPG変換のみ対応しています。一度に、30枚まで処理できます。変換後の撮影時間などのEXIFデータは、そのままです。画像をドラッグ&ドロップする枠の外に、「EXIFデータを保つ」のチェックボックスがあります。このチェックを外すと、撮影場所やカメラ情報などが、画像ファイルより削除されます。利用制限は、ありません。
https://convertio.co/ja/heic-jpg/
特徴:103ものファイルフォーマットに対応しています。Chromeをお使いであれば、拡張機能として追加することができます。無料で使える範囲は、一月に100MBまでという制限があります。100MB以上利用したいという方は、有料プランを契約する必要があります。変換後のファイルは、サーバー上に24時間保存されますが、手動で削除することもできます。
https://cdkm.com/jp/heic-to-jpg
特徴:JPGだけでなく、PDF、PNG、GIF、SVG、WEBP、DDS、JXR、PSD、TIFF、EPS、BMPや画像以外のファイルフォーマットに変換することも可能です。変換オプションにて、それぞれ詳細設定を行うことができます。
特徴:JPGの他に、PNG、BMPへの変換に対応しています。なお、サービス提供側のプライバシーポリシーに基づき、送信したファイルが、提供者側に収集・保管・処理されます。
オンラインコンバーターではありませんが、次のクラウドストレージを利用している場合は、JPGへファイル変換を行うことができます。
Googleフォト、もしくはGoogleフォトアプリへ写真をアップロードするだけで、パソコンやAndroidからも、画像ファイルが閲覧できるようになります。ただし、ブラウザやアプリ上での閲覧はできますが、ファイルをそのままパソコンやAndroid本体へ保存しても、閲覧はできません。閲覧したいファイルがある場合は、写真を開き、[写真に名前をつけて保存]を行うと、JPGで保存されます。パソコン側に拡張機能を追加したり、コンバーターソフトを利用したりせずに、JPG写真をダウンロードしたい場合は、一枚ずつ開いては保存といった動作を繰りかえす必要があります。
iPhoneユーザー限定となりますが、Dropboxをバックアップアプリとして利用されている方は、バックアップの際の保存形式を、HEICからJPGへ変更することができます。
まず、Dropboxを起動します。[アカウント]アイコンをタップし、[カメラアップロード]をONにします。HEICフォーマットの写真の保存方法を選択する項目にて、JPGを選択します。これで、画像ファイルのバックアップを行った際に、自動的にJPG変換されるようになります。
インターネットへ接続できない環境であっても、フォーマット変換を行いたいという方は、無料で利用できるソフトをインストールされると良いでしょう。無料で使えるソフトを、一つだけご紹介します。
特徴:インストールするだけで、HEICデータのファイルを閲覧することが可能となります。一度に、100枚の画像変換を行うことができます。個人利用は無料で可能ですが、法人利用の場合は有料となります。価格は、利用するデバイスの数によって変動します。
パソコン側へファイル変換ソフトをインストールする方法以外には、スマートフォン側で変換を行ってから、転送およびコピーを行う方法があります。無料で利用できるアプリは、複数提供されています。App StoreやPlayストア内にて「ファイル変換」「HEIC変換」といったワードにて検索されてみてください。
写真には、様々な個人情報が含まれていますので、利用される前に、アプリケーションの利用規約を熟読されることをお勧めします。
HEIFによるファイル圧縮方法の採用と標準化は、容量に制限のあるデバイスにとって、非常に有益なものです。一方で、最新のデバイスを使用することができない環境においては、不便でしかありません。互換性を持たせるためのアプリケーションや、オンラインサービスの提供がなければ、そもそもHEIFを採用しているデバイスを使用するユーザーは減っていく一方だと思います。
朗報といえるかどうかはわかりませんが、iPhoneなどのデバイス側で保存形式を従来のフォーマット形式であるJPGへ変更する方法もあります。設定変更の方法を、簡潔に解説します。
[設定]より[カメラ]を選択し、[フォーマット]をタップします。[互換性優先]という項目をタップすることで、設定以降のファイルは、JPEGやH.264フォーマットにて保存されるようになります。設定の変更などの手間がかかることになりますが、必要に応じて、使い分けると良いのかもしれません。
Apple社は、最新のデバイスにおいては、HEIFによるファイル圧縮方法を推奨していますので、数年後には世界規模で標準化される規格になることと思います。Androidも一部の機種において、HEIFによる動画ファイルの保存方法を採用しはじめています。
なるべくなら早い段階で、フォーマットへの対応環境を整えておくことをお勧めします。
「其れこそ私が欲しいソフトだ」と思わせるようなソフトをお勧めします。目指せ、あらゆるジャンルの素晴らしいソフトを発掘することを。「其れこそ私が欲しいソフトだ」と思わせるようなソフトのレビューを更新し続けています。