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DVDをコピーすると、他人と映像を共有できて非常に便利です。しかし、市販のDVDなどをコピーする行為は違法と言われることもあります。また、DVDに関しては、コピーだけでなく、リッピングという言葉も聞かれるようになりました。両者は似ているようにも見えますが、どんな違いがあるのでしょうか?DVDのコピーとリッピングについて解説します。
DVDコピーとは、映像が録画されたDVDから空のDVDに映像をコピーすることです。つまり、同じ内容のDVDを複数作成することになります。録画用DVDは1枚100円程度で入手できますから、コピーの方法さえ知っていれば複製の作成は難しくありません。複製のDVDを知り合いにあげたり、スペアとして保存したりする際に、コピーは有効な手段だと言えるでしょう。
一般的に、個人的に撮影した映像を保存したDVDにはコピーガードがかかっていないので、特別なソフトがなくてもコピーできます。映画やドラマといった市販のDVDについてはコピーガードがかけられているため、コピーガードを解除するソフトが欠かせません。
リッピングは、「かすめ取る」や「盗み取る」という意味です。DVDのリッピングは、DVDの映像をパソコンのファイルに取り込む行為を指します。DVDから情報を抜き取る行為をリッピングと言うものの、元のDVDが空になる訳ではありません。リッピングソフトは、ネット上で無料提供されており、誰でも検索すれば簡単に入手できます。リッピングも、コピーと同様に、必要ならまずDVDのコピーガードを解除します。それから、高速で映像を読み込み、映像を圧縮してファイルに取り込むのです。ファイル内のデータは、解凍してパソコンの画面で再生できます。
保存されたファイルを開くと、映像だけでなく、音声やタイトルなど、拡張子によって分類されたデータが並んで閲覧できるようになっています。映像の閲覧だけが目的なら、その他のタイトルや字幕など不要なデータを事前に排除するか、事後的に削除してキャパを確保することも可能です。DVDの情報をパソコン内に複製するという点においては、コピーの1種だと言えるでしょう。ファイルを別のDVDにダビングすれば、DVDのコピーが出来上がるのです。
コピーの保存先は別の録画用DVDであり、リッピングの場合はパソコンのハードディスクなどになります。コピーとリッピングの主な違いはデータの保存先の違いであって、操作のプロセスには本質的な差がありません。
リッピングの場合は、コピーガードなどのコンテンツ保護機能を解除する行為が含まれるため、「盗む」というニュアンスがあります。コピーの場合は、コピーガードの解除がない私的映像の複製も範疇に入ります。
コピー用のDVDビデオディスクには、字幕から音声・映像まですべてを網羅するVIDEO-TSと予備のAUDIO-TSという2つのフォルダがあります。VIDEO-TSは、VOB・IFO・BUPの3種のファイルから構成されています。リッピングの場合は、mp4といった映像用のメディアファイルフォーマットが多いでしょう。元のDVDの特定の映像だけ切り取ってリッピングすることも可能です。
長期保存し再生機で何回も繰り返して視聴したい人には、DVDへのコピーが向いています。DVDは耐久性が高く、破損しない限り内容を見られなくなることがありません。特に、ブルーレイディスクの容量は大きいので、パソコンよりDVDに焼く方が便利でしょう。これに対して、リッピングは、パソコンに保存されたデータを編集したい人に向いています。動画編集ソフトをダウンロードすれば、保存した映像を好きなように編集できるのです。
DVDをコピーしたら、複製が外部に流出する可能性があるので、注意しなければなりません。特に、「複製不許可」という記載がある市販のDVDについては、コピー自体が禁じられていると考え、私的利用目的であっても、コピーを控えた方が賢明です。もちろん、私的利用目的でコピーを所有していたからといって、逮捕されて刑事罰を受けることはありません。もっとも、コピーしたDVDをインターネットなどで販売すれば、DVDの販売権限を持つ会社から民事上の損害賠償請求を受ける可能性はあります。
写真出典:https://stat.ameba.jp/
DVDのコピー・リッピングに関しては、同時進行で行われた違法ダウンロードの規制について触れておく必要があるでしょう。従来は、ネット上でダウンロードしたコンテンツを自分だけで視聴するだけなら問題はなく、コンテンツをコピーして頒布・販売しない限り罰せられることはありませんでした。しかし、法改正により、入手したコンテンツを他人の閲覧に供する場合だけでなく、ダウンロード自体が違法となったのです。一度でもダウンロードすれば民事上の損害賠償責任を負うし、反復継続してダウンロードすると刑事罰の対象となります。
このように、他人のコンテンツを許可なく複製する行為自体が罰則の対象となるよう、厳罰化が進んでいます。その趣旨は、コンテンツ提供者の権利保護であり、DVDの領域にも同様の規制が及ぶ流れになってきたのです。
大半の市販DVDはコンテンツ保護のため、CGMSとCSSというプロテクト機能が備えられています。CGMSが設定されたDVDをダビングすると、映像が乱れ、鑑賞に耐えないことから価値が著しく低下します。CSSがかけられたDVDは、暗号を解除できる再生システムでしか閲覧できません。CGMSはコピーコントロール、CSSはアクセスコントロールのメソッドなのです。このようなコンテンツ保護方法は、技術的保護手段と呼ばれています。技術的保護手段を故意に回避すると、違法となります。
著作権法では、コピーコントロールを禁じていますが、アクセスコントロールについて規制していません。したがって、CSSを解除してリッピングしても違法性がないのです。一方、不正競争防止法では、コピーコントロールとアクセスコントロールの両方について規制があります。したがって、CSSやCGMSを解除してリッピングを行う行為は、不正競争防止法に抵触し、違法になるとも思えるでしょう。しかし、不正競争防止法で禁止しているのはCSS解除ソフトの提供であって、CSS解除ソフトの使用までは禁じていません。つまり、CSS解除ソフトを用いてリッピングする行為は、著作権法にも不正競争防止法にも抵触しないのです。
このような抜け道があることは、あまり知られていません。一般的には、市販のDVDのコンテンツ保護機能を解除してリッピングすることは、違法ダウンロードに準じて違法の可能性が高いと認識する人が少なくないでしょう。実際には、ネット上のダウンロードと異なり、第3者の感知が困難なDVDのリッピングについては、告発が難しいのです。今後の法改正の内容にもよりますが、他人に頒布・販売しない限り、罰せられる可能性が低いと言えます。
リッピングしてパソコンのデータを再生する分には、コピーのように媒体が流出することがないため、著作権法にも不正競争防止法にも抵触せず、従来通り視聴できると言っても過言ではありません。ただし、ネット上のリッピングソフトを利用した履歴は残るので、今後の法改正次第では慎重な対応が必要になるでしょう。
DVDのコピーとリッピングは、保存先などの違いがあるとはいえ、本質的な差はなく、どちらも法的規制については十分注意しなければなりません。ネット上にはDVDのコピーやリッピングの無料ソフトがあふれており、こうしたソフトを利用すれば、簡単にDVDをコピー・リッピングできます。しかし、文言の解釈上は、著作権法にも不正競争防止法にも抵触しないとはいえ、著作権者の立場に立って考えながら利用の是非を考えることが必要です。
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