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「ピクトグラム(Pictogram)」は、公共施設などでよく使われる、視覚的に意味を伝えるシンプルな絵信号です。和訳すると「絵文字」または「絵ことば」と訳されます。世界各国で見られる緑の非常口や、トイレを表す男女のピクトグラムなど、身近にはたくさんのピクトグラムがあります。
公共のサインの他にも、ホームページなどでもよく活用されるピクトグラム。この記事では、ピクトグラムの歴史やメリット・デメリット、活用法や作り方などを詳しくご紹介していきます!
現代のピクトグラムは、1964年に開催された東京オリンピックのアートディレクター、勝見勝さんによるものとされています。勝見氏は家紋に着想を得て、施設や設備を視覚的に理解してもらおうと、39種類の施設シンボルを生み出しました。
アルファベットを使わない国での最初の開催で、国際交流にピクトグラムがとても有効に使われたのです。
1964年の東京オリンピック以降も、開催国の個性を反映したデザインが生まれました。たくさんの競技をシンプルかつわかりやすく表現するスポーツピクトグラム。開催国の文化が反映したさまざまな発想を見ることができます。
こちらは、歴代オリンピックのピクトグラム一覧です。
https://dailynewsagency.com/2016/08/18/the-sports-pictograms-of-the-tt5/
東京2020オリンピックの開会式では、「ピクトグラム50個の連続パフォーマンス」が披露され、注目を集めました。各競技のピクトグラムを人が表現するという、面白い試みです。
ピクトグラムのメリットは、ひと目で意味がわかる、言葉を超えて意味が伝わることです。情報を誰にでも伝わりやすいデザインにしたサインであり、ひと目でその表現内容が理解できるので、日本語のわからない人にも情報を伝えることができます。意味を直感的に伝えやすくするため、色は単色で、図柄も単純化したものが用いられます。
公共の設備などの看板の他にも、ホームページなどネットの世界でも大変有効です。印刷物と違って、パソコンやスマホの画面から見るホームページは、少ない情報量でわかりやすく伝えることがとても重要です。ピクトグラムと簡単な文章を組み合わせることで、ネットユーザーに素早く理解してもらうことができます。
ピクトグラムのデメリットは、イメージでしか意思疎通できないことです。たくさんのピクトグラムが世の中にありますが、中にはわかりにくいものもあり、間違った意味でとらえられることもあります。
たとえば、ピクトグラムを見ても、正確に伝わりにくいケースはこちら。
「ミーティングポイント」のピクトグラムです。「待ち合わせ場所」を表したものですが、握手や挨拶と間違えられることもあります。
また、地名や駅名など文字でしか表現できないものは、ピクトグラムへ変換することができません。道具の形や人の所作など、国や地域によって違いが出るものもピクトグラムで表現するのは難しいです。
公共施設の案内などで使われるほかに、ホームページでの活用がおすすめです。たとえば、サイト内検索のリンクに「虫眼鏡」のピクトグラムを添えると、ユーザーがそのリンク先が検索機能だとわかります。
Webサイト内でユーザーにわかりやすく内容を説明するときにも、ピクトグラムは最適です。記事の中で疑問点を「クエスチョン」、解決方法を「電球」マークで目立たせたり、要点のまとめに「紙と鉛筆」のピクトグラムを配置するといった使い方があります。長い文の場合に、ユーザーがさっと要点だけ知りたいというときにも、「ポイント」「メリット」「デメリット」などのピクトグラムを入れると、ユーザーを素早く誘導することができます。
特にスマホで見る場合は、画面が小さいので一度に表示できる情報が限られるため、ユーザーのアクションを求める場所に、文字ではなくピクトグラムを使うととても効果的です。
また、シンプルに表現されたピクトグラムは、挿絵的に使うこともできます。伝えたい情報がひと目でわかることや、無機質になりがちな公共情報サイトを親しみやすいイメージにする効果もあります。クスッと笑える面白いピクトグラムもたくさんあるので、素っ気ない雰囲気にならない工夫にもなります。
ピクトグラムは構成要素がシンプルなので簡単そうですが、、簡潔にわかりやすく伝えるためには、何を伝えたいのかを明確にしておく必要があります。ポイントは、「誰が見てもわかりやすく、かつシンプル」であること。老若男女誰でもわかるデザインで、海外の人が見てもわかるようなデザインに心がけることが大事です。
伝えたいことを決め、それを視覚化し、さらに単純化するというステップを踏みます。イラストやアイコンに比べると、できる限り要素を削ってシンプルなデザインにすること。どちらかというと、記号に近い印象です。たとえば、カフェのピクトグラムで代表的なのは、コーヒーカップを模したものがあります。こんな風に余分な情報は削ぎ落として、パッと見ただけですぐにわかるものを目指しましょう。
同じサイト内で使用するピクトグラムは、サイズや色、テイストを統一することも大事です。四角い枠で囲むピクトグラムの場合、線の太さや角に丸みを持たせるか、などで印象が変わります。枠線や角丸の半径、線の太さなども具体的な数値を決めておくと、統一感が出てキレイな仕上がりになります。
わかりやすくするには、メリハリをつけることも重要です。そのためには、イラスト部分と背景のコントラストを強くつけると効果があります。たとえば、白地の背景に黄色でイラストをつけるよりも、白地の背景に黒いイラストの方がコントラストがはっきりして、遠くからでも何が書かれているかよくわかります。
さきほどご紹介したポイントを踏まえて、これから作り方をみていきます。描き始める前に、まずどのような状況で使われるものか、しっかりイメージしてからはじめましょう。目的が決まれば、どのように視覚化し、シンプルに仕上げていくか、という方向性が見えてきます。
イラストは同じでも、色の使い方、余白の大きさや線の太さなどを少し変えるだけでも印象が変わります。ざっくりとしたデザインが決まったら、細かい点を変えていくつかのパターンを試してみるといいでしょう。
ピクトグラムは、素材サイトからダウンロードして使うこともできますが、サイトの雰囲気に合うオリジナルを作ることもできます。単純な図形の組み合わせなので、簡単なものならExcelやillustrator、PowerPoint、または専用の作成サイトを使って自分で作ることができます。
初めて作るという人におすすめです。ピクトグラムはシンプルさが肝なので、Excelの図形や描画ツールを使って作成できます。
illustratorは、プロのデザイナーも使っているソフトです。慣れるまで少し時間がかかりますが、デザイン性の高いものを作りたいときにおすすめです。
新しいスライドに文字や図形を挿入することで作ることができます。画像ファイルを添付することもできるので、オリジナリティーのあるピクトグラムの作成も可能!自分だけのオリジナルを作りたいときにおすすめです。
ピクトグラムやアイコン作成ができる専用のソフトもあります。
①「ピクトグラミング」は、オリジナルのピクトグラムを作りながら、プログラミングの概念や情報デザインを学べるソフトです。パソコンでもスマホでも作成できる便利なソフトです。
②「pictmade」は、友達同士やカップルにおすすめ!オリジナルイラストを作るアプリです。約40種類のピクトグラムや図形、アイコンが用意されていて、それらを組み合わせて作ることができます。スマホで簡単に操作できるので、ちょっとした隙間時間に遊び感覚で楽しめます。
ここからは、ピクトグラム素材を無料ダウンロードできるサイトをご紹介します。
human pictogram2.0は、標識などで使われている「非常口のあの人」のピクトグラムをアレンジして、さまざまな面白いバリエーションが揃ったサイトです。ホームページの制作や会議資料、企画書などにおすすめです。
無料のAi/PNG白黒シルエットイラストは、1万点以上の白黒イラストアイコンが無料ダウンロードできるサイトです。モノクロで汎用性が高く、商用利用も可能。チラシやポスター、WEBサイトなどのアイコンやイラストに便利です。加工して使うこともできます。
イラスト制作や無料イラスト配布をしている「ピクトアーツ」のピクトグラムをダウンロードできるフリーサイトです。ホームページ作成やブログの挿絵、You Tubeの動画などにも活用できます。
Icooon Monoは、シックなモノトーンのアイコン素材をフリーダウンロードできるサイトです。WEBデザインやパソコン上での印刷物のデータ制作におすすめです。
ピクトグラムBOX.comは、フリーのピクトグラムPDFダウンロードサイトです。アイコン素材や看板データなど幅広いジャンルのピクトグラムがあり、カラフルな色使いが特徴です。
ピクトグラムの特徴や作り方、無料でダウンロードできるサイトをご紹介しました。文字がなくても伝わるピクトグラムは素晴らしいツールです。ホームページ制作や看板、人とのコミュニケーションにもとっても便利!簡単にオリジナルのものを作ることができるので、この機会にぜひ試してみてはいかがでしょうか?
「其れこそ私が欲しいソフトだ」と思わせるようなソフトをお勧めします。目指せ、あらゆるジャンルの素晴らしいソフトを発掘することを。「其れこそ私が欲しいソフトだ」と思わせるようなソフトのレビューを更新し続けています。